目次
▼ヤングケアラーとは
▼ヤングケアラーが抱える問題
▼ヤングケアラーの支援に向けた連携プロジェクトチーム
▼まとめ
ヤングケアラーとは
法令上の定義はありませんが、通学や仕事のかたわら、障害や病気のある親や祖父母、年下のきょうだいなど、一般に、本来大人が担うと想定される家事や家族の介護、世話などを日常的に行っている18歳未満の子どもとされています。
具体例としては、
・障害や病気のある家族に代わり、買い物・調理・掃除・洗濯等の家事をしている。
・家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている。
・障害や病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている。
・目が離せない家族の見守りや声掛けなどの気遣いをしている。
・日本語が第一言語でない家族や障害のある家族のために通訳をしている。
・家計を支えるために労働をして、障害や病気のある家族を助けている。
・アルコール・薬物・ギャンブル等の問題のある家族に対応している。
・がん・難病・精神疾患等の慢性的な病気の家族の看病をしている。
・障害や病気のある家族の身の回りの世話をしている。
・障害や病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている。
…などが挙げられます。
ヤングケアラーが抱える問題
ヤングケアラーは家族の介護に追われることで、勉強時間や友人との時間が十分にとれず、さらには進路を変えざるを得ない状況に置かれてしまう場合もあります。
しかし、家庭内の問題ということで、実態の把握が難しいうえ、当事者の子ども自身が、その生活が“当たり前”になっていて声をあげない場合や、困った時にどこに助けを求めていいのかわからないことも多く、表面化しづらくなっています。
ヤングケアラーの支援に向けた連携プロジェクトチーム
令和3年3月から、厚生労働省と文部科学省が、ヤングケアラーの把握と、適切な支援につなぐための福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームを発足させました。
このプロジェクトチームが、問題解決のため話し合った報告書の内容の中で、私たちができることをまとめてみました。
1. 早期発見・把握
ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくい構造となっています。支援を行うにあたっては、まずは、福祉、介護、医療、教育等といった様々な分野が連携し、潜在化しがちなヤングケアラーを早期に発見することが重要です。
また、子どもの中には家庭環境について知られることを恥ずかしいと思っている、
家族のケアを行うことが“いきがい”になっているなど、子どもの気持ちに留意することが重要です。
2. 社会的認知度の向上
ヤングケアラーは、その名称や概念自体の社会的認知度が、正確な内容で浸透されているとは言えません。調査報告書によると、学校におけるヤングケアラーの認知度については、「言葉を知らない」及び「言葉は聞いたことがあるが、具体的には知らない」を合わせると約4割を占めるほか、中高生の8割以上がヤングケアラーを「聞いたことがない」と回答しており、子ども自身のヤングケアラーについての認知度向上が必要であることがわかります。
また、周囲の大人がヤングケアラーについての理解を深め、家庭において子どもが担っている家事や家族のケアの負担に気付き、必要な支援につなげることや、支援を必要としている場合の具体的な相談窓口の周知と併せてヤングケアラーの認知度を向上させることが重要となります。
家族のケアやお手伝いをすること自体は本来すばらしいことです。しかし過度な負担により学業等に支障が生じたり、子どもらしい生活を送ることができなかったりすることが課題である点を理解したうえで、「ヤングケアラー=悪いこと」というメッセージにならないように留意することが必要です。
まとめ
私がヤングケアラーについて調べて感じたことは、何事も度を越えてしまうと、せっかくの善意に犠牲が伴ってしまう、ということです。
大人でも相手のことを必要以上に気遣うことで、結果的にとても気疲れしてしまうことがありますが、子どもたちが家族のために行うこととなれば、自分のことを守れる「程度」もわからないでしょうし、環境によっては自分を犠牲にすることが当たり前で育っている場合もあるでしょう。
また、近年では近所付き合いも減り、ヤングケアラーのような状況に置かれている子どもの変化に、他者が気付くことも難しくなっています。
今回の記事を通して、ヤングケアラーに対する正しい知識を持ち、周りの人たちに伝えていただけたらと思います。
また、皆さんのご家庭を見直すきっかけとして、そして近隣でヤングケアラーと思われる子どもを見かけたら相談窓口に問い合わせていただき、早期発見につなぐことができたらと思います。
※引用※
文部科学省HP:ヤングケアラーについて
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387008_00003.htm
厚生労働省HP:ヤングケアラーについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/young-carer.html
NHK首都圏ナビ:知ってほしいヤングケアラー
https://www.nhk.or.jp/shutoken/yc/