『高口光子の元気が出る介護研究所』高口光子さん公式!研修動画が販売されました 介護アドバイザー高口光子が語る今後のビジョン

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昨年4月から長年所属していた法人からフリーとなり、「高口光子の元気が出る介護研究所」を開設した介護アドバイザーの高口光子さん。

この度、高口さんの研修動画販売サイトのOPENを記念して対談をさせていただきました!
様々な介護の現場で指揮を取ってきた高口さんだからこそ語れる貴重なお話はもちろん、フリー宣言後のビジョンを以前から親交のある静岡ケアスタイル編集長、望月恒彦と共に展望していただきました。

有料老人ホームで働いていた当時の望月と一緒に働いてみたかった!?          

望月 静岡ケアスタイルの編集長の望月です。よろしくお願いします。

高口 え、編集長?誰が?

望月 僕がです!

高口 静岡の介護のオピニオンリーダー!
みんなのために方向つけて引っ張っていきたいなーっていう大きな考えは、いつ頃からお持ちになってたんですか?

望月 そういう想いというのは、有料老人ホームで営業をしていた時からです。もっと介護事業所同士が繋がっていかないと業界全体が盛り上がっていかないだろうという視点から始まっています。

高口 なるほど。初めてお会いしたのがその頃でしたよね。
人当たりが良く明るくて、一定の前向きさがあってね、一緒に働きたいなと思っていました。ここにいたらダメになるんじゃないかって(笑)。だけど、絶対に来なかったからさ!なんだよ〜って思っていたら、いつのまにか立派になられて。
困難なこともあるでしょうけども、自分の事業所だけに集中するだけでなく『静岡』という広い視野を持って発信していく、カタチにしていることは本当に素晴らしいですね。

望月 ありがとうございます。懐かしいですね〜。
当時からホームページを持たない小さな事業所でも、良いサービスをしているところがたくさんあるってことを実感していました。みなさんが知らないだけという気持ちが強かったので発信したかったんです。
各事業所で、職員が一生懸命良いサービスを追求して、アピールし続けていればいつかお客様が選んでくれると思っています。高口さんがよく仰っている、「良い介護には必ずお金がついてくる」という考えにとても共感しています。

高口 経営の“黒字化”というのは、目標ではなく結果だってことですね。
黒字のために仕事をするのではなく、お年寄りのために仕事をしていたら結果として黒字になりました、ということですよね。私の一つのこだわりというか、気概としてあります。

現在の介護は良い介護とは何かを見失っている

望月 未来の介護の展望は語り尽くせないですが…今、現在の介護業界を高口さんはどうご覧になっていますか?

高口 以前は、『良い介護を目指す』という方向性がありました。在宅での介護を充実しようとか、施設でのユニットケアを導入しようとか、色々な種類の良い介護を目指そうとしていました。現場で働く職員さんたちも、純粋にそれぞれが思う“良い介護”というこだわりを持って進んでいた時期があったと思います。
ところが今は、その良い介護とは何か?何を持って良い介護なのか?が分からなくなってきていると感じます。在宅でぎりぎりまで頑張ることが本当に良いのか。施設で安全、安楽を守ることが本当に良いのか。どこに本当に正しいことがあるのかが見失われていると。
職員さんたちも、頑張って“良い介護”って考えても結論が出ないし、実体化されない答えのないものを目標にすることに疲弊感が募りますよね。答えのないものに深き目標を持って突き進むことは、とても大事なことだけれども、ここまで来るともう“良い介護”なんて存在しないんじゃないかっていう猜疑心まで生まれ、何をしたいのか分からなくなってきています。
現場が質的に“良い介護とは何か”を求める力が少し弱くなったところに付け込んで、国は介護を量的に規制しようとしていますよね。いわゆる省力化です。
もちろん、少子化やコロナによる外国人労働者の減少などの国の事情があることはわかります。それでも、介護を受けるべき人がたくさんいて、必要としているのに、介護が職として選びにくい社会になったのはなぜなのかを考えずに、国は省力化だけを進めている。この状況に更に介護の現場はしらけているというのが今の介護業界の印象です。 

望月 一方で、デイサービスなどの事業所数はどんどん増えていて、サービスも十分充実していて、社会資源が豊富であるという見方もありますよね。
それでも介護の質が落ちているという現状との関係性はどうお考えですか?

高口 おっしゃる通り、介護保険がスタートした当時よりも介護事業所は3倍くらいに増えています。つまり、介護を仕事とする人も3倍に増えているのは事実です。急激に事業所ができるカーブと、従業員が充足するカーブが追いつかなかった。
結果、お年寄りのことが好きで介護の仕事を始めた人だけでなく、介護に興味がない人たちにも働いてもらう現象があまりにも長く続いてしまった。ここで介護の質は明らかに低下してきましたね。

望月 管理側、経営者の責務が大きいですね。 

高口 そうですね。面接面談で適正を捉えること、仮に入職しても1年2年かけて育てようという仕組み作りなどが非常に大きいと思います。そういった仕組みがあれば、もともと興味のなかった人でも育つ可能性は十分あります。人材を育てないのに、人手が足りないから辞めさせない、辞めれないという組織で何が起こるかというと、不適切ケアや身体拘束、虐待です。挙句、セクハラ、パワハラ、盗撮などなど。
今の経営者は、法律を守れる施設にしようって言ったら、介護保険法だけではなく悪い意味での権利意識を働かせますよね。

望月 確かに、良いケアの前にリスク管理をしようと、守りに入らなければならない時代ではありますね。

高口 結果として、経営者と現場に妙な悪い緊張感と言いますか、お互いに信頼し合っていないので、もう一歩踏み込んだチャレンジする介護ができない。
というのが、現在の介護業界の一番の問題点だと私は思います。

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静岡という地域性だからこそできる介護

望月 介護業界の話題の流れで、“静岡の介護”は高口さんにとってどのように映っていますか?全国、介護保険法が一緒でも地域性によって介護の質が変わってくることもあるかと思います。

高口 そうですね。
例えば「東京」と一括りにしてしまうのは良くないですが、特に東京はお年寄りもご家族も、そして職員も大変主張するようになりましたね。
例えば、施設でもっと美味しいご飯が食べたいとか、母親に対してこういう介護をしてほしいとか、時間外手当をきちんと貰いたいとか。それはとてもいいことなんですが、いいことのはずなんですが、ご家族の要望が非常に偏っていたり、職員が責任をなすりつけ合ったり、誤解されやすい安っぽい権利意識の中で、下手に人間関係を作ると面倒くさいというような雰囲気がありますよね。
一方静岡では、一人ひとりのお年寄りと職員が素朴に泣いたり、笑ったりして、このおばあちゃんが好きとか、このおじいちゃんが苦手とか、人間くさい人間関係を静岡の介護では感じますね。地域によって濃厚な関係性を持つところもあれば、希薄なところもある、そういう意味では静岡のお年寄りと職員は人間関係を大切にしているのだと思います。

望月 確かに地方の方が、今まで育ってきた環境、自分のおじいちゃんおばあちゃんとの関係性の延長上という素朴さが都会に比べてありますよね。そもそも高口さんが静岡に来た理由はあるんですか?

高口 いや、たまたまですね。私は、縁もゆかりも無いこの静岡で、九州で展開した介護の可能性を立証したいという気持ちで出てきました。良い介護とは特異稀なる美談ではなく、ごく普通の当たり前の介護であり、それには再現性もあり一般性もある、ということを自分の中で確かめたかったんです。仕事の実績も人との繋がりも何もないところで、九州の施設で展開したことをもう一度作り上げていくには何が必要なのか自分で知りたかったわけです。

望月 そう言った意味では、高口さんが次のステップへ進むには、もしかしたら静岡というこの環境が良かったのかもしれませんね。

高口 それは本当にそう思います。静岡に来たのは偶然だけれども、振り返れば静岡だったからできたことかなとも思います。静岡に来て出逢った介護職員さんたちも素晴らしかったし、行政も素晴らしかった。静岡県の高齢福祉課とか、福祉指導課は本当に素晴らしかったですね。私はこういう介護をしたいという思いを静岡が受け止めてくれました。感謝しています。

静岡ケアスタイルと共にできること

望月 ご縁があってこの静岡に拠点を置くからこそ、私たち静岡ケアスタイルとともにどんな活動ができるか楽しみです。何かビジョンがあれば教えてください。

高口 私はケアスタイルさんと、ぜひ二つのことをやりたいなと思っています。
一つは、ケアスタイルさんがセカンドオピニオンのような役割を果たすべく、地道な活動を続ける中でのいろんなネットワークで、介護を頑張っている方々と出会うということです。まだ出会っていない人達と、いつでもどこでも、どんな立場の人達とも一緒に勉強ができるような仕組みを作って、一緒に介護を考えていけたらいいですね。
もう一つは、介護のことなんて考えたこともない人、いわゆる一般の人達に介護を伝えたいなと思っています。介護の現場で頑張っている人がたくさんいますよね。少ない人数でどうやってお年寄りに喜んでもらおうかと本当に頑張ってる人をたくさん見てきたんだけれども、ある程度の所まで来ると頭打ちに合うというか、もうこれ以上は難しいみたいなことってありますよね。それはなぜかと考えると、社会的承認が得られていないからです。
自分の身体が不自由になったり、年を取って老いるなんてことは想像もできない人たちには、介護がなんなのかなんて分からないですよね。認知症なんて暴れるし汚いとか、トイレに行けないんなら給水量の多い尿取りパッドを当てておけばいいとか、そうやって考える一般の人たちはまだまだ多いです。そういう人たちに伝えたいんです。自分の親の最期を見届けるためには正しい判断をしてほしい。良い介護を知っているからこそ、在宅サービスなのか、施設サービスなのか、ちゃんと考えることができる。どっちが良い悪いではなく、どういう介護を受けたいか、どういう人生を送りたいかを考えてほしいですね。
良い介護を知らないと、最後の見届け、もっと言えば親御さんが亡くなった後の自分の人生も豊かにすることができないんじゃないかと思うので、ぜひケアスタイルさんと一緒に伝えていきたいです。

望月 確かにその通りで、介護保険法の原則である自己選択が果たしてどこまでできているのか。包括やケアマネに任せるだけでなく、一般の方ももっともっと勉強しなければいけない時代なのかもしれませんね。自分のおじいちゃん、おばあちゃんがどうやったら豊かな生活を送れるかの選択肢をケアスタイルを通して伝えられたらいいですね。

高口 マスコミでは、『損をしない施設選び』とか、『知って得する介護保険』とかさ、そんな感じばっかりなんですよ。そういう風にしか世間は興味がないんですよね。私の言葉を、興味のない一般の人にも伝わるようにスキルアップしていかなければいけないなと思っています。

望月 SNSやショート動画なんかを使って、介護に興味がない人でもふと目に留めてしまうようなものを作るのも面白いですよね。高口さんのパフォーマンスがあればできそうな気がします。

高口 そう言ったことは全然分からないので…新人の気持ちで頑張ります!ケアスタイルさんと一緒に介護を盛り上げていけたらいいですね。

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高口光子プロフィール
(理学療法士・介護支援専門員・介護福祉士)

高知医療学院を卒業後、理学療法士として福岡の病院に勤務するも、老人医療の現実と矛盾を知る。
より生活に密着した介護を求め、特養ホームに介護職として勤務。介護部長、デイサービスセンター長、在宅部長を歴任する。
2002年4月に静岡の医療法人財団百葉の会、法人事務局、企画教育推進室室長及び生活リハビリ推進室室長を兼務する傍ら介護アドバイザーとして全国を飛び回る。
2006年に老健「鶴舞乃城」の立ち上げに携わり翌年4月に看介護部長となる。
2012年5月には新規の老健「星のしずく」の立ち上げに携わり看介護部長を兼任する。
現場を守りながら若い運営スタッフやリーダー育成に取組む一方で、講演、執筆活動、フェイスブック、NHKに出演し、現場からの等身大の発言・提案で現場を変革させようと精力的に日々を送る。
これまでの現場からの学びの集大成として、「介護施設で死ぬということ(講談社)」を、現場を知らない人々も関係者の方々にも「今の介護現場」を知ってもらいたいという想いから、『介護の毒は孤独(コドク)です(日総研)』を刊行。
現在、「高口光子の元気が出る介護研究所」を立ち上げ、講演や研修活動を精力的に活躍中です。

高口光子の元気が出る介護研究所→                      
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https://genki-kaigo.net/

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